連載 生殖補助医療 “技術”がもたらした現実と未来⑤
クライアントが求める助産師・看護師の心づかい
鈴木 良子
1
1「フィンレージの会」会員・フリー編集者・ライター
pp.81-85
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100455
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苦しかったあのころ
私は20代後半から32歳くらいまでのことを,よく覚えていない。断片的な記憶しかなく,全体像を覚えていない。何を食べていたのか,どのように暮らしていたのか,記憶に霞がかかったようになっている。
友人のYさんにそう話したら「思い出したくないからじゃない?」と言われた。そうかもしれない。一番不妊で悩んでいた時期。子どもができないことで,心がボロボロになっていた時期。当時を知る別の友人は「あのころのあなたは憑かれた目をして,なんだか幽鬼のようだった」とも言う。
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