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はじめに
2000年度の国民衛生の動向によると1999年の母親の年齢階級別出生数における10代の母親の出生数は,14歳以下43名,15歳から19歳までは18,205名,計18,248であり,これは全出生数のうち5.4%に相当する1)。また1998年度の10代の母親の出生数は17,501名,1999年度の出生数は18,253名であり2)全出生率は低下しているものの,10代の母親の総数は増加傾向にある。この10代の母親は,20歳以上の母親よりも友人や両親から精神的サポートが少ないことが特徴2)であるばかりではなく,母子相互作用が低い3)といわれている。
この母子相互作用の低さは,子どもの言葉と情緒面の発達に大きく影響するという報告もある4)。何らかのリスクを抱える10代の母親の場合,養育の不適応を起こすだけでなく母子関係を形成する過程において支障が起こりやすいことがうかがえる。そのため10代の母親の母子関係を形成する過程が円滑にできるよう早期から支援することは,母親の養育にとどまらず,子どもの成長発達も促進することになると考えられる。この10代の母子関係のあり方に着目し,関係性を客観的に評価するためには,日々の母子相互作用場面を縦断的に観察,評価することが望ましい。
しかしこの10代の母親の母子相互作用について,乳幼児期の遊びの場面から母子相互作用を観察した研究は見られるが,1歳未満の子どもとその母親の母子相互作用について継続的に調査したものは見られないばかりか,他の出生年齢の母親と比較したものはみられない。また,母子相互作用とソーシャルサポート,母親の育児状況および子どもの発達との関連をみたものはない。そこで10代の母親にとって円滑に母子相互作用がとれるような支援方法の検討にむけ,産後1年間の母子相互作用の変化を明らかにし,母子相互作用とソーシャルサポート,母親の育児状況および子どもの発達との関連を検証するために調査を行なった。
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