連載 公立富岡総合病院・青木孝子―その人と実践・1【新連載】
母親の影響・恩師との出会い
林 千冬
1
1群馬大学医学部保健学科
pp.802-807
発行日 2001年10月10日
Published Date 2001/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901316
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プロローグ
2001(平成 13)年4月2日。新年度を迎えた公立富岡総合病院の庭では,朝の冷気の中で例年より早い桜がほころび始めていた。花を眺めつつ向かう病院の正面玄関は午前8時開扉。自動ドアを入ると「おはようございます。ずいぶんお早いんですね」とにこやかに笑う姿があった。美しい人である。
長身の白衣姿に,桜の花のようなピンクのカーディガンを羽織ったその人は青木孝孝。59歳。この病院の看護管理者として29年。30年目の今年,停年に1年を残して看護部長の座を後進に譲り,6年目を迎えた看護職の副院長としてオリエンテーンョン初日の新人職員を迎えるためにここに立つ。暗色のスーツに身を包み,緊張した面持ちでやってくる新人職員たちに優しく声をかけ,時になじみの患者と談笑などしながら,その姿からはまるで「ようこそ,わが病院へ」という温かい空気が立ち昇っているかのようであった。
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