調査
母乳育児率向上への取り組みから得られた向上のためのポイント
伊藤 洋子
1
,
二瓶 育枝
1
,
小野寺 ゆかり
1
,
斎藤 文枝
1
,
佐藤 祥子
1
,
田中 恵子
1
1大崎市民病院産婦人科(3階)病棟
pp.914-917
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100422
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はじめに
母乳は子どもにとって最も自然な栄養源である。母乳に近いミルクが種々開発され,普及著しい現在であるが,授乳行動は栄養の補給のためだけでなく,母性を育む機会として非常に重要である。岡村は,授乳行為は単に栄養や免疫物質の母乳を与えるものではなく,その行為によって母と子の絆がより固く結ばれるように,母親の母性中枢にスイッチを入れ,母性行動を発動させる重大な意義を持つものであると述べている1)。
当院で平成10年6月に行なった調査では,9割以上の妊婦が母乳育児を希望しているにもかかわらず,1か月健診時の完全母乳育児率は23%前後と低かった。これを改善するため,UNICEF/WHOの「母乳育児を成功させるための10カ条」(以下,10カ条)(表1)に基づきながら2),約5年間にわたってさまざまな取り組みを行ない,一定の成果を得た。これらを再検討し,母乳育児率向上に何が重要であったかを検討した。なお本文中には,10カ条のなかの○条に基づいた取り組みであるのかがわかりやすいように,(10カ条-○条)と表記した。
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