連載 とらうべ
胎児期の記憶を大切に
池川 明
1
1池川クリニック
pp.189
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100155
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- 文献概要
胎内での記憶や誕生の記憶があることは,最近一般にも知られてきている。10年前ではオカルトと同列の扱いを受けていたこれらの事柄が,ようやく日の目をみるようになってきた。これらの用語は,まだ正確に定義されていないが,胎内の記憶は「胎内記憶」,生まれてきたときの記憶は「誕生記憶」もしくは「出生記憶」などと言われている。
胎内記憶,誕生記憶は本当にあるのか? という問いかけは,常に回答の出ない迷路に入り込む危険がある。それは現在の科学で評価できる範疇を超えている事象だと考えられるからである。私が個人的に行なった調査は,この質問に対する回答の1つになり得るかも知れない。諏訪市と塩尻市などの保育園でアンケート調査した結果によると,ほぼ3割の園児に胎内記憶,ほぼ2割に誕生記憶があった。対象が約3,000人に及ぶこの調査は,恐らく世界で例を見ない規模の調査であろう。さらに個人的に集めたデータでは,小学で1割,中学で2~5%,大人で1%にこうした記憶があるらしい。一般に信じられているように,必ずしも,2~3歳で記憶をなくすわけではなさそうなのである。
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