Japanese
English
特集 高次脳機能の最近の話題
記憶と記憶障害
Current Topics on Higher Brain Functions: Memory and Memory Impairment
数井 裕光
1
,
田辺 敬貴
2
,
池田 学
2
,
小森 憲治郎
3
,
吉田 文
4
Hiroaki KAZUI
1
,
Hirotaka TANABE
2
,
Manabu IKEDA
2
,
Kenjiro KOMORI
3
,
Aya YOSHIDA
4
1大阪大学健康体育部健康医学第三部門
2大阪大学医学部精神神経科
3東加古川病院心理室
4東加古川病院作業療法部
1Faculty of Health and Sport Sciences, Osaka University.
2Department of Neuropsychiatry, Osaka University Medical School.
3Department of Clinical Psychology, Darumakai Higashikakogawa Hospital.
4Department of Occupational Therapy, Darumakai Higashikakogawa Hospital.
pp.598-605
発行日 1993年9月15日
Published Date 1993/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103820
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1初めに
近年の記憶研究の隆盛はHM1)というイニシャルで知られている,てんかんの治療のため側頭葉の内側部を面側性に切除された症例の詳細な研究に始まる.彼は新しい記憶を形成できない重篤な健忘症状を呈するが,運動技能の学習はよくでき,保たれている記憶が存在することが示唆された.その後の飛躍的な画像診断法の進歩やヒトとの対比が可能な霊長類の破壊実験の成果などと相俟って,今日,記憶研究は一大トピックとなっている2).ここでは,まず最近の記憶分類ならびに検査方法を概観し,これを純粋健忘症例を通して実践し,最後に痴呆疾患をも対象とした記憶のリハビリテーションの可能性について考えてみる.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.