連載 今月のニュース診断
「血液型性格学」をめぐって
加藤 秀一
1
1明治学院大学社会学部社会学
pp.190-191
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100156
- 販売していません
- 文献概要
「血液型を扱う番組」
人から血液型を尋ねられ,答えると「やっぱり」または「意外だ」とかいった反応を返された経験のある人は多いだろう。血液型性格診断は日本人にはすっかりおなじみの民間信仰で,妙にこだわる人には辟易するものの,個人間のやりとりの範囲なら格別の問題はない。しかし,それがマスメディアによって喧伝され,その影響によって差別やいじめが引き起こされているとなれば話は別である。
昨年12月8日,放送倫理・番組向上機構(BPO)の「放送と青少年に関する委員会」は,「『血液型を扱う番組』に対する要望」を発表した(本文はホームページhttp://www.bpo.gr.jp/youth/f-kenkai.htmlを参照)。それによると,最近のTVの情報バラエティ番組が血液型と性格との関係を既定事実として扱っていることに対し,数多くの視聴者から機構に「科学的根拠がないのに,あるかのように装っている」「児童が顔・実名を出され,実験材料にされている」といった批判が寄せられたという。これを受けて要望は,そうした番組が「本人の意思ではどうしようもない血液型で人を分類,価値づけするような考え方」を子どもたちに植えつけることで「社会的差別に通じる危険がある」と指摘し,各放送局に配慮を求めた。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.