連載 あるある事例で考える 保健師のための倫理 知れば広がる個人情報利活用と学会発表・2
事業アンケートの分析結果を学術誌に投稿することはできる?
後藤 智江
1,2
,
松尾 和枝
1,3
,
鳩野 洋子
1,4
,
岡 順子
1,5
,
緒方 文子
1,6
,
嶋津 多恵子
1,7
,
住徳 松子
1,8
,
藤野 善久
9
1日本公衆衛生看護学会第3期倫理委員会
2福岡市南区保健福祉センター地域保健福祉課
3福岡女学院看護大学公衆衛生・在宅看護学
4九州大学大学院医学研究院広域生涯看護学
5熊本県健康福祉部健康局医療政策課
6日本赤十字九州国際看護大学
7国立看護大学校看護学部
8アサヒグループホールディングス株式会社日本統括本部人事部
9産業医科大学産業生態科学研究所環境疫学
pp.152-156
発行日 2021年2月10日
Published Date 2021/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201598
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前回は,乳幼児健診等,自治体が条例に基づく業務に関連して保有した個人情報のデータに関して,基本的には当初の目的以外の使用は認められませんが,例えば学術研究等の場合といった例外規定が設けられている場合もあることを学びました。ただし,それを外部に公表する場合においては,人を対象とした医学系研究に関する倫理指針(倫理指針)の適用となること,その場合も,扱うデータが第1章 第31適用される研究の適用外に該当する場合,倫理審査委員会は倫理指針の適用外として検討する場合もあることが分かりました。
今回の事例は,保健師が企画した事業の評価について,研究的な視点で調査表の作成からデータ収集,分析,学術誌投稿までを,保健師が自から行おうとする場合についてです。このような調査は,その事業が参加者(人)の健康に影響を与えている状況や要因等を検討するため,“人を対象にした医学系研究”(倫理指針第1章 第2用語の定義)に該当します。この場合の倫理的な対応を考えていきましょう。
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