調査報告
豪雪地帯に暮らす後期高齢者の健康と生活の営みに関する研究
菅原 峰子
1
,
北川 公子
1
,
籠 玲子
2
,
斎藤 智子
3
,
中島 紀惠子
4
1新潟県立看護大学
2名古屋大学大学院医学系研究科看護学専攻博士課程前期
3群馬大学医学部保健学科
4日本看護協会看護教育研究センター
pp.1030-1036
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101097
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■要旨
目的:本研究の目的は,豪雪地帯に暮らす後期高齢者の健康と生活の営みの実態を明らかにすることである。
方法:新潟県内の豪雪地帯在住の75歳以上高齢者で承諾を得られた者に対し,基本属性,受療状況,自覚症状,心身活動性(老研式活動能力指標,転倒アセスメント,Motor-Fitness Scale,老人用うつスケール短縮版),生活の営みに関する項目の面接聞き取り調査を実施した。介護保険の申請または要介護認定を受けている者を除く199名を分析対象者とし,性別および75~79歳,80歳以上の年齢階層別に分析した。
結果:分析対象者の約半数が80歳以上で,6割が家族との同居であった。健康に関しては,男性の80歳以上群で「通院中」,「聴力低下」や「身体の痛み」の自覚がある者が有意に多く,女性は同様の傾向はあるが有意差はなかった。心身活動性は,男性よりも女性で,さらに75~79歳よりも80歳以上群で低下が認められた。生活の営みは,男性は「除雪」「雪下ろし」,女性は「洗濯」「灯油の注入」「調理」の項目に75~79歳群と比較して80歳以上群の有意な実施率低下があった。
考察:豪雪地帯在住後期高齢者では,80歳以上群で心身の脆弱化がみられ,身体機能の査定では,後期高齢者のなかでも80歳,85歳以上という年齢区分の有効性が示唆された。また,豪雪地帯特有で身体的負荷が強い生活の営みの実施率低下から,同地域在住の後期高齢者の生活継続は同居家族のサポートにより成り立っていることが推察され,独居,高齢夫婦のみの世帯に対する支援策の必要性が示唆された。
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