調査報告
地域看護学実習の評価と今後の課題―学生の実習自己評価と到達度の分析から
藤丸 知子
1
,
椛勇 三郎
1
,
佐藤 祐佳
1
,
兒玉 尚子
1
,
西田 和子
1
1久留米大学医学部看護学科
pp.494-500
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100375
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■要旨
本学の地域看護学実習は,2003(平成15)年度から,学生が保健所・市町村の保健活動を全般的に捉えられるように,教育指導内容の充実を図った。そこで実習の目標に沿って,保健所および市町村における地域看護学実習のあり方について検討した。2004年度の3年生106名を対象に実習前後に自己評価と到達度(実習後のみ)のアンケートを実施した。分析方法は,Wilcoxon符号付順位検定とX2検定を適用した。
その結果,保健所,市町村の機能・役割と地域看護活動における看護職の役割については,9割以上が理解できていた。地域の特性については,実習前から自己評価が高く,地域住民の健康問題・生活環境については市町村のほうが高い傾向にあった。保健事業については,保健所,市町村の事業の特徴がみられ,各保健事業で到達度が高かった。家庭訪問では有意差はなかった。また,関連機関などの連携や役割については,保健所・市町村に差はなかった。
実習施設の役割,機能,保健師の活動については,それぞれの実習目標は達成していると考えられるが,施設によって実習できない項目については,理解が十分とはいえない学生がいることも考慮の必要がある。今後は,学内実習におけるグループ討議の充実,発表方法の工夫など学生の共通理解を深めていくための関わり方が課題である。さらに地域看護学実習を効果的に行うために,講義の段階から動機づけをして実習のイメージ化を図っていくことも重要であると考える。
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