特集 看護基礎技術教育
からだの動きに視点を置いた教育方法
持永 静代
1
1千葉県立衛生短期大学
pp.280-292
発行日 1988年5月25日
Published Date 1988/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908509
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はじめに
基礎看護技術を担当して7年が過ぎたが,年ごとに技術の習得が困難な学生が目立っている.しかし,学生自身は学内実習では,意欲的・積極的に学習する.看護学は今までの学習とは何か違うのではないかという期待を持っているらしい.学内実習で「〜ができてうれしい」「実感としてわかった」と喜んで生き生きした笑顔をよく見ることができる.しかし学生は,学習意欲も高く,理論もよく理解できているのに,何かぎこちない.よく観察すると「移動」技術がぎこちない.からだの動きを見ていると,膝が自由に動かず,協調的にからだが動かない.原因は膝が自由に動かないために,からだの重心移動がスムーズにできないのである.こうした学生との出会いがきっかけとなり,からだの運動機能を調べはじめたところ予想以上にからだが動かないことがわかり,この結果を技術指導に活用することを試みた.
からだの動き,動かせ方に視点をあてた看護技術の指導により,学生自身も自分のからだを意識化できるし,自分を振り返る機会となっている.また教師の立場からは,学生個人の特性が把握でき,からだの動きを通して学生の学習効果が理解できるので楽しく授業が展開できる.
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