連載 甃のうへ・第73回
置かれた場所で咲くということ
寒川 美奈
1
1北海道大学大学院保健科学研究院
pp.449
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201872
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もともと私は,田舎の小学校の先生になりたかった.自然のなかで子どもたちと一緒に遊び,学びたいと思っていた.ところが大学入試の頃,スポーツでのケガをきっかけに引退する仲間を見ていて,ケガからの復帰をサポートしたいと思い,私の進路は変わった.
大学時代の担任だった石橋朝子先生は,日本へ理学療法士が導入された頃に資格を取得され,呼吸理学療法では第一人者だった.とにかく情に厚く元気な先生で,いつも私たちに臨床への思いを語ってくれた.私たちが病院で働くようになってからも,毎年お正月は先生の自宅に招いてくださり,手料理とともに1人ひとりへお年玉を渡してくれた.亡くなる少し前,体調を崩された先生をお見舞いに行ったときは,ひと回り小さくなられた先生に力強く手を握られながら「私は子どもがいないけれど,あなたたちの頑張りをいつも自分の子のように嬉しく見てきたよ.これからもスポーツの分野でしっかりがんばりなさい」と言われたときのことを今でもしっかりと覚えている.
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