昭和の暮らし・第8回
置き薬
市橋 芳則
1
1北名古屋市歴史民俗資料館
pp.966
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201045
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家庭用の置き薬.東海地方では富山からやってくる薬売りが有名である.引き出し式の薬箱が各家庭に常備され,その中に,風邪,歯痛,腹痛の薬等,暮らしの中で必要となる薬が納められていた.
その中から使った分だけを年に数回,薬屋さんがやってきて補充,その代金を徴収していくという江戸時代から続くシステムである.幾重にも重ねられた柳ごうりを縁側で広げると,さまざまな種類の薬が効率よく収納されていたことを思い出す.定期的に使った薬を確認するこの機会は,家族の健康状態を確認する機会でもあった.
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