看護教育学の体系化をめざして・9
看護教育方法論・その2
杉森 みど里
1
1千葉大学看護学部
pp.308-315
発行日 1987年5月25日
Published Date 1987/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908381
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学習のレディネスをめぐって
学生の主体的・自発的学習活動を尊重し,推し進めてゆくには,前号で述べた‘動機づけ’や‘学習意欲’とともに‘レディネス’1)に関する知識が必要となってくる.看護学学習にかぎらず,ある目標に向かって学習する過程は,教師達によって学習者の外的条件が意図的・計画的に設定されて展開され,その同じ過程の中で,学習者は一定の目標に到達するように援助されながら,主体的にそれにかかわることによって成立する‘教授・学習過程’と,教師が全く意図していない潜在的な働きかけ‘非教授・学習過程’とによって成り立っている.そして,その両過程が混沌とした状況を呈しながら,学習者へ大きな影響を与えていく.
したがって,学習者に一定の外的条件を整え,意図的・計画的に与えさえすれば,いつでもそれに見合う学習成果が得られるというわけではない.相手が人間である以上,仕方のないことであると教師達は百も承知しながら,時には途方にくれたり嘆き悲しんだりさせられるのは,外的条件がどのように一定であっても,その時点における学習者の内的条件によって,学習成果は大きく左右され,動揺するからである.
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