看護教育学の体系化をめざして・8
看護教育方法論・その1
杉森 みど里
1
1千葉大学看護学部
pp.244-251
発行日 1987年4月25日
Published Date 1987/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908371
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授業としての看護学実習
看護教育方法の中で,他の課程の学生達と一番大きな違いを持つ教育方法をあげるとすれば,看護学実習であろう.この看護学実習という名の授業は,実験,実技と同じ学習形態に分類される.しかし学習方略といい,その時間の長さといい,他との差が著しい.このような学習状態が続いているについては,歴史的な背景があることも否定できないが,それにしても実習が授業であることを失念していたり,仕事であると固く信じて疑わない看護婦達の存在が,かなりの数に上るのもまた事実である.
昭和27年春,高等看護学院へ入学した看護学生の一人である筆者は,実習が進むにつれ,そのおもしろさと同時にある種の異和感を持った.それは実習が完全に仕事と位置づけられていることが,病院の職員達との交流により知らされたからである.次第に教育学部,体育学部,農学部などへ進学した,高校の同級生の教育内容・教育方法とは,非常に違うことがわかってきて,よその学校ではどうなのかという問題意識を持つようになった.そこで看護学校の学生達で,情報交換などのできる連絡会のようなものを作ろうということになり,翌28年だったか,都内看護学生親睦会を発足させた.
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