特集 ‘死’と看護教育
終末期患者の看護の段階的学習
中尾 久子
1
,
花田 妙子
1
,
大津 ミキ
1,2
,
奥野 府夫
1
1産業医科大学医療技術短期大学看護学科
2聖マリア看護専門学校
pp.165-169
発行日 1986年2月25日
Published Date 1986/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908210
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人間にとって,死は避けられない出来事である.人間は必ず死ぬということは自明の理であるのに,人は死ぬことを恐れ,できるものなら自分が死ぬという考えを拒絶したいと願っている.死を迎えた患者を看護するにあたっては,看護する側の生活信条・人生観・死生観が大きなウエイトを占める.波多野ら2)の調査によると,死を迎えた患者の援助は単に看護教育や看護技術上の問題ではなく,看護する学生の人間形成とも深くかかわっているという.そこで,学生の成長に合わせて1年ごとにプログラムを組み,死についての自身の考えを培う教育を試みたので,その教育方法を報告する.
教育の一環として,次のような理由から事例学習をとり入れた.すなわち,核家族化とともに,家庭内で近親者の臨終に接する機会が少なくなり,死を迎える患者やその家族の心情を理解し,援助することが不十分となっている.そこで,死に関する一般的概念(構成理論)を学ぶことから更に一歩ふみとんで具体的な事例を示すことにより,自身の考えを深めることができるようにした.
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