特集 カリキュラム編成のヒント 臨床判断能力を育む取り組み
「気づく」ための段階的な学び―老年看護学でのコンセプトを基盤とした学習活動(Concept Based Learning Activities)を用いた段階的学習の試み
根岸 まゆみ
1
,
下吹越 直子
1
1静岡県立大学看護学部
pp.142-151
発行日 2020年2月25日
Published Date 2020/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201425
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
臨床判断能力に着目したきっかけ:老年看護学における従来の課題
日本は、2007年に内閣府に少子化担当大臣が設置されるなど、毎年のように少子化の記録を更新する一方、高齢者人口は年々増加傾向にある。総人口が減少するなか、65歳以上の人口が増加することで高齢化率は上昇している。令和元年度版高齢社会白書1)によると、現在は国民の約4人に1人が65歳以上であり、すでに超高齢社会を迎えている。その対策として、ベビーブーマーの団塊世代が75歳を迎える2025年までに、高齢者が要介護となっても尊厳を保ち、住み慣れた地域で最期まで自分らしく生活できるよう「住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築」が進められてきた2)。
こうした時代背景をふまえ、静岡県立大学看護学部(以下、本学)の老年看護学領域においては、地域包括ケアシステムのどの段階においても高齢者像をとらえることができるよう、特に地域の高齢者の状態に合わせ彼らが「自分らしく」生活できるようなケアを計画実施できることを目標に授業を組み立ててきた。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.