大正看護史・7
日赤の救護看護と社会看護活動—その2
渡部 喜美子
1
1都立鷺宮高校
pp.461-466
発行日 1982年7月25日
Published Date 1982/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907701
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第1次世界大戦後の社会状勢は,国の内外に大きな変化をもたらした.1917(大正7)年にはロシア革命が起こり,世界最初の社会主義国家,ソビエト政権が誕生する.一方,日本はアメリカ合衆国とともに資本主義を大きく飛躍させ,列強国に仲間入りすることができた.
また国内では,戦後の好景気は資本家の利益を大幅に増加させたが,労働者は,むしろ物価の高騰にみ合う資金が得られず,生活苦にあえぎ,貧富の差が生じた.それによって労働者間の結束はいっそう強まり,労働運動への道がさらに進むことになる.特に大衆の暮らしに必要な米価の高騰は,1918(大正8)年,富山県の漁村の一主婦から端を発し,やがて米騒動に発展していったのである.この事件をきっかけとして,社会運動や婦人運動に拍車がかけられた.
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