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ある入院患者の感想
松井 大造
pp.444-450
発行日 1976年7月25日
Published Date 1976/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907007
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はじめに
病院らしい病院に入院したのは,今度で2度である.1度目は5年ほど前,同じ病気で同じ病院に入院した.病気というのは,喘息の発作である.
この発作が苦しいものだということは,かねて聞かぬわけではなかったが,自分で経験してみて,こんな苦しみは,ほかにあまりあるまいと思われる.大抵の苦痛ならば,我慢強いほうの性格だと自分で思っていたし,我慢だけでなく,意志の強い点でも,ほかのだれにもひけをとらないと自負していた.かなりの喫煙家であったが,8年ほど前に,‘百害あって一利ない’と聞いて,あっさりとたばこをやめてしまった.はじめは口が寂しくてガムなど噛(か)んでいたりしたが,それも数日でやめてしまった.胃によくないように思われたからである.
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