私はこう思う シンポジュウムをきいて
シンポジゥムの感想
山下 章
1
1東京都麹町保健所
pp.38-39
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202777
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来る日も来る日も,"よりよく地区のニードにこたえるためにはどうすればよいか"そればかりを考えなやんでいる我々保健所長にとっては,このようなテーマはたとえそれが3回目であっても4回目であっても,砂漠に水を求むるに似た感慨をもって傾聴する。というよりせざるを得ないのである。1000人余り入る青少年センターがほとんどいっぱいになったのもうなづける。
魅力ある講師陣,88もの問題点を並べた印刷物,しかもそのサブタイトルに,その障害と克服の具体策と書かれてあるに至っては,ノートを広げ鉛筆を持ち一言一句聴きのがさないかまえをせざるを得なかった。しかし終った後のノートは白紙のままで,問題点はやっぱり問題点としていつものように終ってしまった。特に討論の方向が保健所から県へ,県から厚生省へと,上へ上へと,向っていったことは残念だった。たしかに,今の保健所活動が地区のニードに応じて行えない根本は,国なり都道府県なりの行政のありかたを改めなければ,どうにもならないものが余りにも多すぎる。しかし,いつもいつも討論の方向をそこへもっていってしまったんでは,いつまでたっても我々は一歩も進めない。ただ不満を持ち,なげき,ふんがいし,そしてなげやりになる以外に手はなくなる。特に今回は保健所を出発点として考えようということで,小宮山先生の問題提起から始まったものと思う。
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