人間形成の原理と方法
第3部 人間形成と技術教育(2)
元木 健
1
1大阪大学人間科学部
pp.599-604
発行日 1974年9月25日
Published Date 1974/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906812
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第2章技術の指導法
実習
技術の習得に当たっては,古くから,その技術が展開される場において,自ら体験しかつ反復練習を重ねることによって,目標となる行動形態を身につける学習方式—実習—がとられてきた.技術の学習が,数学・理科・社会科などの,いわゆる知的教科の学習と基本的に異なるところでは,この実習をぬきにして成り立たないということであろう.近代になって,生産の過程が自然科学や技術学の成果に負って展開されるようになり,技術の習得に際しても,特に知識体系のための組織的な学習の場が設けられるようになったが,といって,今日の各種・各段階の技術教育において,実習が依然として重要な学習方式であることには,変わりはない.
技術教育において実習が重視される理由としては,まず表現技能の習熟・訓練ということがあげられよう.つまり,技術は最終的に外的な行動として表現されるものであり,その表現行動には,一定の正確さ,速さなどの技能が要求されるので,技能習熟のための訓練を欠かすことができないからである.
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