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看護教育における社会学ゼミナールの試み—看護教育とは何か
北原 龍二
1
1信州大学・教育学部(社会学)
pp.265-271
発行日 1974年4月25日
Published Date 1974/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906768
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I
看護教育という言葉は広く普及していて,いまさらそれがなんであるかを問うこともあるまいと思われていよう.私もこの小論のタイトルに,慣用的にその言葉を用いている.しかし使い慣れている言葉とはいえ,看護教育とは果たしてなんであろうかという疑問は,やはりつきまとうものである.看護学校の非常勤講師をしていて,学校から何か連絡の手紙を受け取る時,‘日ごろ看護教育に御協力いただぎ……’というようなあいさつをうけ,とまどいを覚えるのはどうしてであろうか.‘自分は社会学の教師である’‘看護学校での社会学教育を担当したことはあるが,看護教育に携わった自覚はない’というのが,このとまどいの原因である.
高校教育が,高校での高校生を対象とする教育を意味すること,すなわち教育の一課程を意味することや,理科教育が理科についての教育を示すこと,すなわち教育上の教科を示すことなどは,ほとんど疑問のないところである.看護教育の意味はこれらと同程度に天下に明白であろうか.答えは否であろう.
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