教育技術ゼミ
技能の評価・2
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.56-59
発行日 1971年7月25日
Published Date 1971/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906489
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技能の評価で特に問題になるのは,学生の行動そのものを測定しなければならない場合である。前号で述べたように技能の評価では,その基礎となる知識や理解を調べれば,それで十分であるということもあるし,学生がその技能を用いて作成した作品から,技能を評定できる場合もないわけではない。しかし,そればかりでなく技能の評価にあたっては,学生の行動そのものを測定したり,評定したりしなければならないことが多いのも事実である。
評価の対象が学生の行動そのものである場合には,ペーパーテストや作品による評定と違って特殊な困難がある。ペーパーテストや作品は,学生の行動の所産あるいは結果であり,それはあとに残るから,教師は答案や作品を集めて,時間に余裕のある時に,それらをゆっくりと観察・評定することができる。しかし,行動そのものを評定しようとする場合には,そういう方法をとることは許されない。なぜなら行動そのものは,それが行なわれるにつれて消失してゆくからである。
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