一頁講座 リハビリテーション関連用語
生活技能訓練
宮内 勝
1
1東京大学医学部精神医学教室
キーワード:
生活技能訓練
,
精神分裂病
Keyword:
生活技能訓練
,
精神分裂病
pp.175
発行日 1997年2月10日
Published Date 1997/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108310
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生活技能訓練はSocial Skills Trainingの訳語で,社会生活技能訓練とかSSTと訳される場合もある.
1970年に,UCLAのロバート・ポール・リバーマンを中心に開発された.彼らは,精神障害者が地域で自立した生活ができるようにすることを目的にしてリハビリテーションの体系を作っている.すなわち,「ストレス―脆弱性―対処技能モデル」である.ある個人に社会的,心理的ストレスが加わると幻覚や妄想などの症状が出てくるが,この症状の出易さのことを「脆弱性」と言う.精神障害者が社会生活をしていくためには,この脆弱性を克服する必要があり,克服するための因子として次の4つをあげている.第1に,神経遮断剤,適当量の抗精神病薬の投与,第2に,生活技能構築,個人が苦手とする社会生活場面を新しいスキルを身につけることで乗り切れるようにすること,第3は,移行プログラム,病院から地域に橋渡しをするプログラムで,デイケアや共同作業所などが相当する.第4が,社会的サポートで,ケースマネジャーがサポートするようなマンツーマンのレベルから国策としてサポートする制度づくりのレベルまでを含む.脆弱性を克服するためには,この4つの因子を同時並行的に推し進めていく必要があるとしており,生活技能訓練は,第2の因子を効果的に行うための援助技法と位置付けられている.
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