私のエンマ帳
舞台芸術から敗走してきた看護学生
徳永 清
1
1明治学院大学広報室
pp.38-39
発行日 1971年7月25日
Published Date 1971/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906485
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■地底の暗闇を斬り裂くように,一条の光線が矢のように走った。ざわめいていた観客席が,急に鳴りをひそめて,一瞬,息をつめたような緊張が,人々のなかを貫いて行った。光束の矢の先が,ボワーッと明るくひろがって,舞台の中央に,僅かな布切れの黒い衣裳をまとった,ほとんど裸に近い,ひとりの女性像をとらえる。
「あッ:小淵沢鮎子だ。」
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