看護管理 教育・研修・研究
看護技術と技能教育
床田 弘子
1
1大阪府立公衆衛生専門学校看護科
pp.425-430
発行日 1994年11月15日
Published Date 1994/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900284
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はじめに
今日,先進諸国において,保健医療文化は変化しつつあると言われる.それは,保健医療者側の医療から,患者の自己決定の保健医療へと明らかに変化,移行しつつあることが要因となっている.
宗像恒次によると,これまでの保健医療における患者にとっての利益と損失を医学的視点に立って推測し,医療者が患者への恩恵を示すことが医の倫理的基盤であったと述べている.一方,医療者は自らの裁量で医学的見地からみた患者の生命や健康の維持,回復を追求しようとし,患者の価値観や考え方を,十分には考慮しない傾向があった.しかし,自己決定の保健医療においては,医療者が医学的視点から判断するのではなく,患者自らの価値観や信念に基づいて,患者が自己決定する責任がある.そして医療者には,その患者の決定を尊重する責任があるというように変化してきた.そのために,患者は医療者から最大限の情報開示を受ける権利があるとされる.
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