特集 学生自治を考える
私の考える学生自治
まず自己の確立から
中村 慶子
1
1徳島大学医学部付属看護学校
pp.31-32
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906173
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“本部内に機動隊導入”“強制捜索”“反日共系と激突”—今日もまた,紙上をにぎわしている。私にはわからない,何がどうなっているのか。でも何かが起こっているのだ。“大学の自治の崩壊”“官僚的横暴”……私には,今,自分の生活しか見ることができない。それで精いっぱいなのだ。学生について,自治について,私がここでそれを述べるには,あまりにもいろいろなことを知らなすぎる。そしてあまりにもまわりが静かすぎる。
私たちの年代は“ベビーブーム”と呼ばれた。小学校・中学校・高等学校と,ガタンガタンと音のする工事現場の教室で,あわただしく学んできた。新しいものへと変動し,生まれ変わる乱雑さの中で,大きな物体の一点として自分を主張するでもなく,消滅させるでもなく,「仕方ないから……」「皆がするから……」その日その日を何となくすごしてきた。自分では別に意識しなかった。変わったことはないようだった。でもまわりがいやに騒がしかった。“受験地獄”“マンモス学級”などなど。ちょうどよいところに自分を正統化させ,逃避する道があった。そして今,私は同年代の同じ次元に生きる人びとの動きをただぼんやりと傍観している。
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