連載 安全な医療のために―医療事故予防への提言・3
信頼・納得できる医療の条件―説明責任の確立と患者の自己決定
山内 桂子
1,2
,
山内 隆久
3
1北九州市立女性センター
2国立小倉病院附属看護助産学校
3北九州大学文学部人間関係学科
pp.553-558
発行日 1999年7月10日
Published Date 1999/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901969
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
自己決定
現代社会では多くの人が,人生のさまざまな場面での選択,決定を自分の意思でしたいと考えています.進学や就職や結婚などでも,親の意向や慣習などに従うのではなく,自己選択,自己決定することが増えています.
これまでの医療者と患者の関係は,「パターナリズム」(家父長主義,温情的干渉主義)という言葉で示されるように,医療者がよいと考え,決定した医療を,患者が黙って受けるというものでした.自己決定のニーズや習慣を持った現代人が,医療場面でも,医師や看護婦に選択や決定を任せるのではなく,情報提供を受けた上で自分の希望する医療を受けたいと考えるのは当然のことでしょう.インフォームド・コンセントという言葉が,「説明と同意」と訳され,医療者の間ではもちろん,一般市民の間でも随分知られるようになりました.医師にお任せする医療から抜け出し,情報を得て自ら積極的に医療に参加することが必要だとの認識が少しずつ広がってきています.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.