視座
科学者としての整形外科医―自己の確立と国際化
名越 智
1
1札幌医科大学生体工学・運動器治療開発講座
pp.103-104
発行日 2013年2月25日
Published Date 2013/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102593
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昨今の論文あるいは学会発表などで,ときどき考え込んでしまうのは,この結果からよくぞここまで結論が飛躍できるなあ,である.科学的な根拠に基づかず,自分の感想や思い込み,どこかで得た他人の意見を平気で結論にするような暴挙である.科学者である医師は,自分が呈示したデータをもって,どこまで論理を展開すべきか,さらに,どこまでそれが許されるかを判断しなければならない.昨今,iPS細胞をめぐる虚偽の発表が問題視された.これは極端な例かも知れないが,そこまで至らない大風呂敷的発表があるのも事実である.科学者である整形外科医に求められるのは,たったひとつのことを証明することの難しさ,大変さ,その重要性を認識することと,科学的な論理展開のできる範囲を見極められる自己の確立であると思う.そうでなければ,整形外科の学術雑誌は,週刊誌の域を出ないだろう.
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