研究・調査・報告
母乳確立への試みとその成果
細野 えち子
1
1都立台東産院
pp.367-371
発行日 1978年6月25日
Published Date 1978/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205391
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1.はじめに
新生児を母乳で哺育するということは,哺乳動物にとってごく自然のことであるが,ヒトにおいては,調製粉乳の改良がなされ,母乳栄養をする母親が少なくなった。昭和28年には70%だった母乳栄養が,昭和47年には18%まで減少した1)。しかし最近,母乳栄養の意義が再認識され,母乳栄養の占める割合はふえてきていると思われる。
当院では開院以来,母子同室制をとり,母乳栄養をすすめてきたが,昭和51年10月までは,分娩の翌日,すなわち同室になる日に調乳指導を行ない,母乳分泌の悪い場合は,自由に調製粉乳を補充できるようにしていた。分娩後,母乳分泌の発来まで少し時間を要するものであり,分泌が少ない,または無いということで調製粉乳を与えてしまうと,児は乳頭への吸引を怠り,プロラクチン,オキシトシンの分泌は円滑に行なわれなくなる。このような場合,母乳分泌も少なくなり,入院中に限らず,家に帰ってからも母乳栄養法をとるうえで大きな弊害になっていたと考えられる。そこで昭和51年10月から調製粉乳の補足をやめ,5%糖水に変えて母乳栄養を,より積極的に指導してきた。
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