新カリキュラム講座 一般教養課目・1
史学編IV
松島 栄一
1
1東京大学史料編纂所
pp.38-42
発行日 1967年8月1日
Published Date 1967/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905863
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■史学史的構成の学習
史学の方法やその概論をたどるためには,史学史的な展開をたどることが,きわめて効果的である。そしてその史的考察によって,受講生たちに,現代の錯雑した時代・社会の一端や,またそこにおける歴史学=史学の複雑な存在となっている現状についてもまた,知らせることができるにちがいない。
さて,この上で,これまでの史学概論風な,史料批判(いわゆる外的批判と内的批判などという)の実例を展開してみせてもよいかもしれない。しかし,これも,専門の歴史家になるのではないのだから,個々の細かい,小さな問題についての展開ならば,案外,意味はないかもしれない。もちろん,講義をする者(講師)の側で,専門的に語るべきテーマが豊富であれば別であるけれども,そのテーマとしては,できるだけ特殊歴史的な事項や事件や人物のことではなくて,なるべく一般性をもったものが望ましいわけである。たとえば,幕末から明治維新への過程であるとか,イギリスの産業革命であるとか,アメリカの独立宣言から南北戦争にかけての歴史であるとか,さらにはフランス大革命の歴史であるとか,ドイツにおけるビスマルク時代であるとか,またロシア革命,中国革命の具体的な経過であるとかは,どのような風にも工夫して,興味深く,授業を展開することができるであろう。
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