新カリキュラム講座 一般教養課目・5
経済学編IV
島 久代
1
1立教大学産業関係研究所
pp.34-38
発行日 1968年3月1日
Published Date 1968/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905989
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
貨幣と金融
貨幣には大別して“現金通貨”と“預金通貨”がある。現金通貨は日常の買物などに用いるために,外出の際などに財布に入れて持って歩いているお金であり,預金通貨は小切手などの振り出しによって,人から人へ渡る当座預金のことである。
貨幣はそれ自体,商品としての価値をもっており,他の商品の価値をはかる物指しの役割をもっている。これを貨幣の“価値尺度”としての機能という。貨幣に価値尺度としての機能があるということは,貨幣がすべての商品の交換のなかだちになり得ることを意味しており,これを貨幣の“一般交換手段”としての機能という。また,貨幣は貯金などのようにたくわえておくこともできるから,貨幣は“価値貯蔵手段”としての機能をもっており,これと同じような関係から“価値移転の手段”としての機能が考えられる。これらの基本的な機能のほかに,貨幣には“一般的支払手段”“国際貸借決済手段”“資本として利潤を増殖する手段”など,いろいろな機能がある。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.