特集 看護教育と代替/補完療法―臨床・教育でどう実践されているか
リラクセーション技法を基礎看護学に導入して
小板橋 喜久代
1
,
柳 奈津子
1
1群馬大学医学部保健学科
pp.639-643
発行日 1999年8月25日
Published Date 1999/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903838
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
休養時にもリラックスできない人々
1930年代にリラクセーション法を提唱したアメリカの生理学者E. Jacobsonの『積極的休養法―リラックスの理論と実際』には次のようなメッセージが記されている1).「人は,臥位姿勢では,骨格筋の緊張から解き放たれ,自然に筋肉を弛緩させる.横になって休息するとき,自然にリラックスするものであると思われている.ところが,休養時でもリラックスできない人々がおり,心臓は1日中休む間もなく酷使され続けている」
横になっていても身体の緊張を解き放つことのできない人々,その理由は人それぞれであろう.病気の人々は,身体的苦痛にさいなまれるということもあって,身体を横たえる時間は十分あるのに,こころの内からリラックスすることができないでいる.そういう状況の人々に日夜接しているのが看護の臨床である.Jacobsonの先の著書の原題は『You Must Relax』である.このタイトルに込められた問題は,まさに現代社会の健康問題そのものであり,看護が取り組まなければならない重要課題である.以下,リラクセーション技法を基礎看護学における看護技法「安楽安寧を促す技術」の一技として導入した経緯と実際について紹介する.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.