特集 看護教育と代替/補完療法―臨床・教育でどう実践されているか
代替的治療と看護
荒川 唱子
1
1福島県立医科大学看護学部
pp.634-638
発行日 1999年8月25日
Published Date 1999/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903837
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近年,欧米やイギリスをはじめとするヨーロッパ諸国,オーストラリアなどにおける代替的治療(Alternative medicine)の普及はめざましく,それに関する実践,研究,教育は日本人の想像をはるかに越えていると言われる.米国において「代替的治療」という用語は,①安全性や有効性が証明されていない,②一般に医学系大学で教育されていない,③医療保険の給付対象にならない治療を指している.しかし,イギリスでは代替(alternative)ではなく,補完的・相補的(complementary)という用語が用いられている.その理由は,それが従来からのオーソドックスな近代西洋医学にとって代わるものではなく,あくまでも補うものという考え方に基づいているからである1).どちらの用語を使うにしろ,治療としては,complementaryもalternativeも同じ内容を指しているため,最近ではComplementary & Alternative Medicineという呼び方が一般的になりつつある.
代替的治療の急速な普及は,看護の領域にも様々な影響を及ぼしている.それは看護が健康・不健康を問わず人類全てを対象とした専門職サービスであり,そのあり方は医療状況のみならず社会の変化,人々の暮らしぶり,民族や文化などによっても大きく異なるからである.ここでは,近年の代替的治療の急速な普及によって,看護の現場でどのようなことが生じているのか,また,看護と代替的治療との関係を摸索しながら,看護教育における代替的治療について述べてみたい.
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