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はじめに
リラクセーション外来担当の筆者の勤務先である放射線科病棟を中心とし,外科病棟との2病棟で,試行的にリラクセーション法指導を開始した.放射線科病棟は,術前の放射線照射やがんの再発の治療のため,中長期的な経過をたどる患者が多く,外科病棟は,手術前後の指導が必要な患者や終末期を迎えて再入院する患者がいる.本稿では,放射線科病棟の実践例を紹介する.
北6階病棟は全52床の混合病棟であり,全臓器のがんの放射線根治治療から終末期まで,各病期の患者が入院している.入院患者は,家庭を離れての入院生活や病気に対する不安,治療や苦痛により常にストレス状況にあるため,それらを軽減するうえでリラクセーション法は有効である.さらに,家庭に帰ってからの長い療養生活を考えたとき,患者がセルフケアをしていく1つの方法として,リラクセーション法を身につけることは重要であると考えられた.
リラクセーション法の適用にあたっては,入院中の患者と外来患者との間で大きな違いがあり,いくつかのポイントを押さえておくことが重要である.その1つとして,入院患者は病状や体力に応じたプログラムが必要であることが挙げられる.入院患者には,治療や検査時の苦痛や病気の進行への不安などいくつもの緊張場面があると思われ,多くのリラクセーション技法の臨床適用に関する報告がその有効性を示している.
しかし,リラクセーションはまだ一般的に知られていないのが現状であり,リラクセーション外来のポスターを掲示しても,自ら指導を希望して来る患者はほとんどいない.また,指導する場合にも,専用の部屋を確保することが難しい状況にある.ある程度体力のある人の場合には外来受診も受け付けているが,希望者は少ない.
そのようななかで,患者がその時点でつらく感じている症状にアプローチし,その過程でセルフケアとして活用でき,患者自身も興味を持てるようなプログラムを検討した.そしてリラクセーション効果のあるケアをまとめ,リラクセーションケアとして指導した.このリラクセーションケアとは,いわゆるリラクセーション法に加え,指圧やマッサージ,アロマセラピーなどを使ったケアの総称である.本稿では,入院患者に対してリラクセーションケアを実施・指導した過程について,事例を提示しながら紹介する
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