特集 リラックス出産
リラクセーションヘの導入
三宅 馨
1
1三宅医院
pp.276-284
発行日 1992年4月25日
Published Date 1992/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900542
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ディック・リードは痛みに関して,50年前に次のように述べた。「文明と文化は女性の心にある『耐える』ということに対して過大な影響を及ぼしてきた。その結果,出産については当然であったはずの陣痛に,不必要な恐怖と不安を生み出すことになったのである。作り出された恐怖と不安は,精神の緊張だけでなく,身体の防衛本能の緊張も高めるようになった。この防衛本能の高まりが筋肉の緊張をもたらし,よりいっそうの痛みを呼び起こすようになったのである」1)
50年たった今も,ディック・リードが言った生理的な痛みのメカニズム(恐怖が緊張を招き,招かれた緊張は不必要な痛みをつくりだす)と,それを解消・軽減するための方法は研究され続けている。その追及するところは,薬などの化学的な物質を駆使しない生理嗜好である。つまり,生体が本来備えているはずの潜在的な予備能力を訓練することで,痛みの感覚を軽減しようとするものである。
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