特集 臨床能力を高める教育の試み
教育へのコンピュータ支援学習の導入―Cyber Patientを用いた国際教育実験に参加して
岸 浩一郎
1
1自治医科大学医学部・医学教育調査室
pp.847-850
発行日 2002年11月25日
Published Date 2002/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903295
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はじめに
コンピュータ支援学習を用いて様々な知識の獲得を効率よく行う,という試みは,20年以上前から教育分野で継続されてきており,関連のソフトウエアも国内外で多く作成されてきた.我々は各時点で利用可能なコンピュータの上で,それらのソフトウエアを使用し,その有効性を推定してきた.過去においては,利用可能なコンピュータ性能に限界があり,同時にソフトウエアの機能にも限界があり,コンピュータ支援学習が大きく広がることは稀であった.しかしここ2~3年のコンピュータ性能の著しい向上により,ソフトウエアも大きくその機能を伸ばし,コンピュータ支援学習が実際の教育のツールとして使える時代に入ってきている.
このような状況の中で,自治医科大学では,カナダUniversity of British Columbia(UBC)のQayumi教授により提案された国際教育実験に賛同し,2001年12月にCyber Patient教育実験を実施した.このCyber Patientは,コンピュータ上でアニメーションと音声により診察技能を学ぶマルチメディア教材である1).今回の試みの特徴として,国際教育実験の一環として行われたこと,コンピュータ支援学習の有効性を科学的にデザインされた教育実験によって検証したこと,という2点が挙げられる.以下にその概要を解説し,コンピュータ支援学習を教育の中に科学的に採り入れる方法について紹介する.
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