連載 医学と文明・6
コンピュータの導入
水野 肇
pp.788-793
発行日 1973年6月1日
Published Date 1973/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916684
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コンピュータの可能性
20世紀前半の科学発展を原子力と抗生物質とするならば,20世紀後半は,躊躇なくコンピュータということができるだろう.私たちの日々の生活のなかにさえ,コンピュータがはいり込んでいる.それはジェット機や新幹線といったものだけではなく,国電の切符やラジオはいうに及ぼず,カメラに至るまでコンピュータが組み込まれている.というより,コンピュータがない生活を考えるほうがむずかしいといえるだろう.
作曲のような,およそ創造力以外に頼るものがないようなものでさえ,コンピュータが導入されているぐらいである.私がコンピュータなるものにはじめてお目にかかったのは,1950年代の終わりにアメリカのCRAで見たのが最初だった.当時,私が見たコンピュータは,真空管からトランジスタへの移行段階のもので,ものすごく大きいもので,そのメカニズムよりも,大きさに目を見はったものである.それからわずか十数年の間の発展はめざましいもので,その‘すばらしさ’については,周知のとおりである.
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