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医療とコンピュータ
藤沢 正輝
1
1日本医師会
pp.530-531
発行日 1971年5月10日
Published Date 1971/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203595
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忍び寄る情報化社会
1960年代のわが国が,世界を驚愕させた高度経済成長で象徴されたように,70年代の日本はおそらくその高度成長を維持しつつ,いわゆる脱工業化社会(Post Industrial Society)へと突入せざるをえなくなるものと推測される.医学・医療の領域のみが,この忍び寄る情報化社会を無視して現況にとどまることは不可能であろう.情報科学やシステムズ・エンジニアリングはコンピュータを駆使して,あらゆる領域において革命的とでもいうべき進展をとげつつあるが,医学の分野へもこの新しい技術が導入されなければ,わが国の医学は世界の後塵をかぶる浮目をみることは,あまりにも確かなのである.
実際にわが国においても医学および医療の方面において,幾多のコンピュータを使用した研究や企画が存在しているが,しかしわが国の医学も医療も現在の前時代的な健康保険制度の枠の中で,いまやその発展の芽はつみとられ,空転を余儀なくされつつあることは憂うべき現状と言うべきであろう.
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