特集 人間の環でつくる精神看護学実習
実習環境改善に向けた取り組み―臨床との連携に力を注いだ3年間
錦織 亜子
1
,
大石 弘子
2,3
,
石塚 欣子
4
1浜松市立看護専門学校
2好生会三方原病院
3元:浜松市立看護専門学校
4好生会三方原病院看護部
pp.538-542
発行日 2002年7月25日
Published Date 2002/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903231
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はじめに
精神看護学実習では,実習が開始されると,学生は耳に入ってくる様々な情報に影響され,多くの不安や恐怖感を持ちながら実習場へと向かうことが多い.具体的な心理状況として,患者に暴力を振るわれるのではないか,怒鳴られるのではないか,話ができないのではないか,などが挙げられ,どちらかというと否定的に捉えている.それでも学生は,病棟の中で自分の身をどこに置いていくのかを考え,患者のみならず,そこで働くスタッフや,病院全体の環境についても詳しく観察を行い,自分の居場所を獲得するための情報収集を行っていかなければならない.
こうした点から,精神看護学実習では,教育環境が学生の成長に大きく影響すると考えられる.中でも,実習場での人的環境は重要である.特に,学生の有する個人的背景を念頭に置いた指導力があること,実践におけるモデリングが効果的に行われること,患者をとりまく精神科チーム医療体制の中で看護職が実際どのように機能しているかが理解しやすいことなどが,学生の学びを促す教育環境として望ましいだろう.
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