特集 「精神看護学」のいま
精神看護学における実習場面の教材化の試み―患者―看護者関係を学ぶ
山口 恵子
1
,
坂井 恵子
1
,
松澤 フサ子
1
1石川県立総合看護専門学校
pp.342-349
発行日 2002年5月25日
Published Date 2002/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903193
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実習においては,「患者―看護者関係」で様々な場面が存在する.精神看護学実習の最終日,学生Aから相談を受けた.「受け持ちのBさんが作業療法で作成中の作品を郵便で私に送ろうかどうしようかと迷っている.もし,送りたいと言われたらどうしたらよいか」というものであった.最終的にはBさん自身の作品なので自分で使うということになり,解決した.しかし,学生Aに改めて話を聞いてみると,実習の最初の頃,Bさんに自分の住所を聞かれ,断れずに住所を書いた紙を渡したという事実が明らかになった.学生Aは,実習中Bさんから何か言われて困るということはなく,実習は楽しかったと話していた.結局,臨床実習指導者からBさんに説明してもらい,学生の住所を書いた紙は返してもらった.
患者―看護者関係から考えると,看護者の個人的情報を患者に伝えるということは慎むべきである.学生にも,この関係については講義と実習前のオリエンテーションで説明し,個人的情報の交換や個人的な物のやりとり等は行ってはならないとしている.しかし,臨床現場,特に実習という状況では,学生は患者に嫌われたくない,拒否されたくないと気持ちが優先してしまい,対応困難な状況に陥ることもある.
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