特集 後輩を育てる―臨床の教育的環境を整えよう
授業としての臨地実習―学生の経験を教材化する力をつけるために
安酸 史子
1
1岡山県立大学保健福祉学部看護学科
pp.790-793
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900418
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教育観の明確化
教育は教師と学習者の相互学習
臨地実習という授業において教師の役割を担うのは学校の教員であり,実習指導者である.広く捉えると,学生にとっての教師は患者であったり,その家族であったりもするだろうが,患者や家族には教育の責任はないので,ここでは学校の教員と実習指導者を指して教師と呼ぶことにする.教材化の本論に入る前に,まず私の教育観を呈示したいと思う.なぜなら,学生の経験を教材化するという発想自体が,教育観抜きには出てこないことだからである.
教育現象は「教えること」だけ,あるいは「学ぶこと」だけというような固定的で一方向的な関係では成立しないものである.私は授業を「教授=学習過程」として捉えたいと考えている.このような捉え方は,「教えること」と「学ぶこと」を二分せずに,教師と学習者の主体的・創造的協同による相互の学習として教育現象を捉えようとする,教育的主張であるといえる.
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