実践報告
『ナイチンゲール看護論・入門』を看護概論の授業で用い展開した実践報告
松坂 眞砂子
1
1国立仙台病院附属仙台看護助産学校
pp.448-454
発行日 2000年6月25日
Published Date 2000/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902273
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はじめに
恐らくほとんどの看護学校で,入学した学生たちにナイチンゲールの『看護覚え書』を購入させ,授業や抄読会などで用いているものと思われる.これは今まで私が担当した,実習指導者講習会や教員養成講習会で,受講生の方に質問しての実感である.当校でももう20年来この本を購入させている.私自身も以前学生に『看護覚え書』を用いて,グループで覚え書に書かれている内容を把握させ,それを読んでどう考えるかという学習をさせた経験がある.しかし,大概の学生は卒業すると本箱の奥にしまい,その後,手にとって読んだという話はあまり聞いたことがなかった.
1994年,金井一薫は『ナイチンゲール看護論・入門』を著した.この本は,三講からなっており,第一講ではナイチンゲールが解いた看護の本質(目的論,対象論)を,第二講ではナイチンゲール看護論を臨床に活かす方法を(方法論,教育論,管理論),そして第三講ではナイチンゲールとその思想を理解する上で欠かせないナイチンゲールの生涯およびナイチンゲールが生きた時代背景が書かれている.まえがきに「本書は現代版『看護覚え書』なのでナイチンゲールの『看護覚え書』を手元に置いて読んで欲しいこと,そして,その意味で本書は,看護学を学び始める看護学生にとって必読書の意味を持っており,『看護覚え書』を読む初年度の学習の手引きとして活用して貰えれば嬉しい」と書かれている.著書の言うとおり,最初から『看護覚え書』を読むよりは,『看護論・入門』の方が読みやすいし,『看護覚え書』を構造化して読むことも提言しているので,手引書としても非常に価値がある本である.
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