調査・研究
看護に求められる生命倫理教育とは―脳死状態の妊婦出産事例に対する助産婦の意識調査から
常盤 洋子
1
,
真部 昌子
2
,
小濱 優子
2
1帝京平成短期大学専攻科
2埼玉県立衛生短期大学看護学科
pp.291-295
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900824
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はじめに
生命に関する科学や医療技術の進歩は,人工的延命処置,臓器移植,体外授精,代理母などを可能にした.かつて神聖だったはずの生と死の過程に科学が介入することにより,患者,家族,医療者の死生観を根底から揺さぶる問題を生み出している.
助産婦は生命の誕生過程に専門的にかかわり,特に分娩介助を独占業務としている.分娩は生理的現象ではあるが,常に異常に移行する可能性を持っており,時には,母親・胎児のいずれかの生命を選択しなければならない状況が生じることもある.また,最近では,脳死状態の母体から児誕生の報告が聞かれるなど助産婦の職域に新たな問題が起こっている.しかし,「生と死」の状況が変化しているにもかかわらず助産婦学生の意識は健常者優先思考に偏重しているように思える.
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