連載 ことば
診断(みたて)
都留 春夫
1
1聖路加看護大学大学院
pp.4-5
発行日 1992年1月25日
Published Date 1992/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900320
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病気の治療には医師の診(み)たてがいるように,看護には看護の専門家による看(み)たてが必要であろう.どちらについても診断という言葉が用いられるようだが,その性格や内容にはかなりの違いがあって当然だと思う.
ある日本語辞典では,診断は「医者が患者を診察して病状を判断すること」としてある.診も察もみると読むことのできる字だが,診には「言うことに基づいて調べる」意を,察には「おおわれてはっきりしないものをこまかに選び分ける」意が含まれている.判は「刃物で物を切り分ける意」から,見わける,裁く,分ける,分かるという意になり,断は「斤(おの)で糸をたち切る意」から,たち切る,決める,定める,という意味をあらわすようになっている.判断は「ある事柄について,考えをまとめて定めること」「その断定した内容」を指す.診断という用語がよく使われるようになったのは,明治以後のことらしい.
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