連載 ことば
生と死
都留 春夫
1
1聖路加看護大学大学院
pp.449
発行日 1991年8月25日
Published Date 1991/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900235
- 有料閲覧
- 文献概要
死に向かって進む人生の旅は,誕生の時から既に始まっており,止まることを知らない.死は生を無意味にするのかというと,そうではなく,むしろ,自らの死を自覚するからこそ,人間は人生の意味を考え,それを価値あるものにしようとする.様々のドラマが展開される長い生涯の,最初と最後に位置する生と死には,前者へのこだわりから後者への恐れを生じたり,後者への希求から前者の意味が見失われたりするという,密接な関係がある.
生という字は,草木の芽が土から出て伸びる姿をかたどっており,生きる(生命,生長,生活,生涯,人生など)という表現に使われ,また生まれる(出生・誕生),生む(生産),生える,生やすなどの使われかたもする.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.