特別寄稿
生と性と死
大島 清
1
1京都大学霊長類研究所
pp.36-43
発行日 1985年1月25日
Published Date 1985/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206577
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はじめに──飽食文明のなかの生と性と死
昭和も遂に60年代に突入した。新しい世紀も刻一刻と近づいてくる。心からおめでとうと言いたいところだが,何となく気が晴れぬ。科学万博が華やかに筑波で開催される年でもあるが,何となく気が重い。
野生動物も寄りつかなくなった複合汚染列島上で,めざましく躍進するバイオテクノロジー。そういった社会を縦断するコンピューター,コントロール,コミュニケーションに代表される3Cの波。人類を幸せにするためのこれら科学技術や管理社会が,かえって人間を苦しめているとしか私には思えてならない。最近,その華やかな舞台裏でバイオハザードが爼上にのぼり,バイオエシックスがささやかれるのもそのためである。
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