特集2 看護教育におけるコンセプト学習の可能性
看護教育にコンセプト学習を用いるメリットと可能性
津波古 澄子
1
1京都看護大学大学院
pp.320-327
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.004718950660030320
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看護教育におけるコンセプト学習―コンセプトとは何か?
グローバルに発生したコロナ禍の急激な変化を経て、看護教育はあらためてケアの質を高めるための教育の在り方、育成する学生の資質・能力を問うことを余儀なくされている。わが国では2021年に「新たな看護師等養成カリキュラム」が提示された1)。看護教育で目指す学生の資質・能力を「未知の状況にも対応できる『思考力・判断力・表現力等』の育成」と、自ら考える力の育成が優先される中、看護教育におけるコンセプト学習の利点と可能性について考えていきたい。
看護教育実践においてconcept(概念と訳されることもあるが、以下、コンセプト)に注目する「コンセプト学習」は、学生の考える力を促進し、実践に活かすために、筆者が長年取り組んできた「批判的思考(クリティカルシンキング)」と両輪を成すものと捉えている。看護教育におけるコンセプト学習は、Giddensの学生の“思考と学力を促進”する教育アプローチに立脚しており、「学生が情報と情報をつないで考え、“つないだ新たな学び”に反応する脳の可塑性のプロセスを通して、知識は全く異なる状況においても転移できる」という知見に基づいている2-4)。

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