特集 VR/AR/MR 教育への応用最前線
VRを用いた生活援助技術の学びと今後の発展
宮崎 剛司
1
1旭川大学保健福祉学部保健看護学科
pp.34-41
発行日 2019年1月25日
Published Date 2019/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201156
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VRを導入した看護教育に取り組む
VRが技術練習の教材として適するだろう理由
Embodied Labs1)が開発している「We Are Alfred」というプログラムは、仮想現実(Virtual Reality、以下VR)によって、近親者や医大生に疾患のある高齢者の疑似体験をさせるというものである。これにより共感力・実践力が育まれたとの報告がなされている。具体的には、病期に応じて、幻覚や混乱の映像、音が被験者の目や耳をとおして体験し、また患者の目線からも家族や医療者とのかかわりを受容していくことで、患者中心のケアを強化しようとしている。
看護の技術練習の教材には、これまで模擬患者やシミュレータなどが主に採用されてきた。しかし、模擬患者による教育2)では、事前準備や演技力によって学習効果は演技者に大きく依存してしまうと同時に、緊迫感がないことなどの問題点があった。また、シミュレータを用いた教育でも、装置が高額であって普及が難しく、また操作方法の習熟、各疾患への対応が負担になるなど、場面設定づくりの対応にも労力がかかっていた。このように現行のいずれの方法でも、指導者は導き方や振り返りの方法に多くの苦労があり、現状では公平性のある学習機会を提供するために試行錯誤を続けているだろう。
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