連載 作業療法を深める ㊷VR(仮想現実)
VR技術を用いたリハビリテーションの現状と展望
辻下 守弘
1
Morihiro Tsujishita
1
1奈良学園大学
pp.562-569
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202125
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はじめに
リハを効果的に進めるためには,日常生活場面で特異的・機能的なトレーニングを長期に反復させることが必要となる.しかし,疾患等により気力や体力が弱った状態では,リハに対するモチベーションをいかに維持・向上させるかが大きな課題である.
そこで,最近ではコンピュータサイエンスの進歩により,VR(virtual reality:仮想現実)技術が身近となり,意欲を高める多様なリハの可能性が高まり,欧米ではバーチャル・リハビリテーションと名づけられ,広く応用されつつある1).また,脳卒中片麻痺の運動障害等に対してVRを導入した治療では,主に上肢機能と日常生活活動への効果に関する報告が多く,その効果は今のところ限定的ではあるが,作業療法への応用可能性は高いと考えられる2).
本稿では,VR技術を用いたリハに関して,まずVRとは何かを定義したうえで,VRの鍵となる「臨場感」と「没入感」について解説し,リハにおけるVRの応用事例の紹介とVRの今後について展望する.
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